経営視点から見るテクノロジー活用の考え方について【Change The Theory #1開催報告】

Change The Theory

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「デザインとテクノロジーの力で既成概念を打ち破る共創の場」ことSENQ六本木。ここで9月3日、テクノロジー活用とビジネスの在り方を考えるため、経営と技術の双方において類稀なキャリアを重ねるゲストを迎え、パネルディスカッションと懇親会が行われました。


ーープログラム

【第一部】パネルディスカッション ~経営視点から見るテクノロジー活用の考え方について~
登壇者:    株式会社UB Ventures     竹内 秀行様
        株式会社Preferred Networks  高木 悠造様
        ライフイズテック株式会社   奥苑 佑治様
モデレーター: クオンタムリープベンチャーズ株式会社  古谷 健太郎様

【第二部】懇親会

 

ーー経営・技術のダブルキャリア先駆者が考える「エンジニア×何か」とは?

第一部は業界トップ企業や気鋭のスタートアップを渡り歩き、技術責任者や事業責任者など立場の異なるポストを歴任してきたゲストによるディスカッションです。

登壇いただいたのは株式会社UB Venturesの竹内 秀行 様、株式会社Preferred Networksの高木 悠造様、ライフイズテック株式会社の奥苑 佑治様。モデレーターはクオンタムリープベンチャーズ株式会社の古谷 健太郎様です。

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写真左:左から 竹内 秀行様、高木 悠造様  写真右:奥苑 佑治様

最初のトークテーマは「エンジニア×何か」の必要性、つまりエンジニアが、エンジニアリング技術とは別の知識やスキルを併せ持つことについて。エンジニアから経営や事業開発まで手掛ける本日のスピーカーならではの話題です。
 
エンジニアとしてキャリアをスタートし、現在事業開発を手掛ける高木さんは「日本は経営とエンジニアリングが結びついていない」と分析。一例として、経営陣のIT知識が乏しいことから「ソフトウェアも経年により摩耗する」ことを見通せず、時代にそぐわない環境とそのメンテナンスに多くのコストを割き続けることに……といったケースを挙げました。

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一方、竹内さんは「AIのスタートアップは多いけれど、彼らのやりたいことと現場のニーズは乖離している」と指摘。常に最先端の技術を活用したい、いわばエンジニア気質のスタートアップに対して、実は現場では最先端ではない技術の方がフィットする、求められていることも少なくないと述べ、「そのギャップを埋めるもの、それを理解する力が『エンジニア×何か』の『何か』になりうる」と持論を展開します。
 
奥苑さんは、お2人のお話を受けて「プロセスを理解することとテクノロジーを理解することは違う話だと思っている」と、エンジニアと経営者に求められる知識の“質の差”を示唆。その上で「経営者にはエンジニアリングの知識がどれくらいあればいいのか?」と問いかけます。
ここで竹内さんはAIを例に「60%の精度を持つシステムがあるときに、『100%ではない』と理解したうえで、60%で成り立つビジネスモデルを考えられる」知識だと回答。また高木さんは知識そのものより「経営者全員が完全に(プロセスやテクノロジーを)理解していなくても、CTOをリスペクトして、ちゃんと話を聞ける体制かどうかが重要」だと述べました。


ーー先進性やコスト削減に気を取られず、確かに「利益を生む」技術や事業を選びたい

ここまでのディスカッションで場はかなり温まり、来場者も身を乗り出すようにして4人の話に耳を傾けています。

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そんな中、奥苑さんから「投資評価や事業評価のポイント」に関する話題が振られると、竹内さんは「『最終的にどこからお金が出てくるか』が重要。例えばある技術について(技術そのものの有用性だけでなく)『それをどこに活かせばお金が出てくるか』をまず考えるのでは……例えばそれがAI技術なら、AIではない領域でも儲かるし、AIを使うとさらにアップサイドが狙えるような領域に投資したい」と、技術先行ではなくビジネス全体を見通す視点を示します。
 
高木さんは事業で利益を上げるか、コストを下げるかといった点に着目し、現状「多くのスタートアップはコストカットの技術ばかりを提供している気がする」と懸念を示します。スタートアップはそれでも良い、ただ「自分は『クライアントの売り上げが伸びる事業開発』以外はやらないようにしている。そこが伸びれば、僕らにも最終的には(利益が)入ってくるので」と、“利益を上げる”事業開発を評価する意向を語りました。

ーーエンジニアとビジネスサイド、攻めと守り、お互いがリスペクトしあえる環境を

客席からも多くの声が聞かれたこの日、最後の質問は客席からの「『エンジニアの教育』はどうあるべきか」というものでした。
竹内さんは「日本のGDPを上げる企業づくりのための(エンジニア)教育」というテーマに対して、「ビジネスを理解しているエンジニアが増えると、それだけで日本のGDPは上がる。エンジニアリングで解決できる課題は世の中に本当にあふれていて、ただそこにエンジニアが見向きもしないという状況が日本では若干醸成されつつある」と、回答とともに現状への危機感を示します。
エンジニアに評価されることを目指してしまうエンジニアが多い中で、外に目を向けるエンジニアを増やせたら面白くなる、それにはビジネスの目線が必要だというわけです。

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高木さんからは「エンジニアとビジネスサイドは仕事のしかたが根本的に違う。そこを理解し合えないと生産性も落ちるしビジネスも停滞するので、お互いをリスペクトしあえる環境づくりが非常に重要」と、本日最初のトークテーマにも通じる回答が寄せられます。
 
奥苑さんはさらに話題を広げ、「『優秀なエンジニア』は企業やプロジェクトのフェイズ・規模によって全然違うので、採用と退職で回転することが重要」だと持論を展開します。
続けて「例えば、初期段階だと手の速い攻めのエンジニアがいい、でも運用に入ったら深く思考して設計できる守りのエンジニアが必要になる。どちらも必要で、1つの会社やプロジェクトでダメだといわれるエンジニアが他でもダメとは限らない」と、教育に限らず人材流動でエンジニアを活かす方法を示唆しました。
 
これに対して竹内さんも、「攻めのエンジニアが先攻で形を作るがゆえに、守りのエンジニアを下に見てしまいがち。これもまたお互いがリスペクトしあえる環境を作ることがすごく重要」だとコメント。お互いを尊重し合える環境の重要性が強く感じられる流れとなりました。

 

ーー懇親会でさらに深いディスカッションへ

この日の会場は壇上も客席もいわゆる“距離が近い”、ざっくばらんで和やかな雰囲気。しかししばしば本音ベースの鋭い話題も飛び出し、ディスカッションとしては非常に濃い内容となりました。
予想以上の盛り上がりで、文字通りあっという間に終了時間を迎えたディスカッション。この続きは懇親会へ引き継がれ、グラスを片手に熱いやり取りが交わされたのでした。

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❖ 今回のご登壇企業 ❖
 株式会社UB Ventures     : https://ubv.vc/
 株式会社Preferred Networkshttps://preferred.jp/ja/
 ライフイズテック株式会社      : https://lifeistech.co.jp/


(ライター:丸田カヨコ)


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