SENQ会員さまの中には、SDGs(持続可能な開発目標)を視野に入れた事業を手掛ける方や、事業活動とは別に、会社全体でSDGs達成への貢献活動に取り組んでいる方が多数いらっしゃいます。
この記事では、これまでにSENQが企画してきたSDGsへの取り組みをご紹介します。
SDGsありきではなく「課題解決」から始まった取り組み
SENQ各拠点のレセプショニストは定期的に合同ミーティングを実施し、それぞれの拠点の様子を報告したり、抱えている課題を共有し、解決方法を考えたりしています。それらの課題解決に取り組んだ結果、自然発生的にSDGsへの取り組みにつながっていきました。
「もともと『SDGsに取り組もう』と考えたわけではなく、各拠点に共通する『日常的にゴミが多い』という課題が出発点でした。ゴミを回収したり、消耗品を発注したりする中で、特に紙コップの消費量の多さを、どのレセプショニストも感じていました」(SENQ霞が関レセプション:石田さん)
こうした経緯を経て、レセプショニストたちがまず始めたのが「マイカップ利用推進」でした。毎月5のつく日を「マイカップ応援デー」として、レセプションにマイカップを持ってお越しくださった会員さまにお菓子などのプチギフトを差し上げるというもので、現在まで継続しています。
「マイカップを利用いただくことがきっかけで、会員さまから『以前からレジ袋は使わないように気をつけているんだよね』といった、個人で取り組んでいるさまざまなSGDs活動についてもお話をうかがうことができました」(SENQ霞が関レセプション:石田さん)
「他にも、会員のみなさまにSDGsに関するアンケートを実施したところ『SDGsに関心はあるけれど、自発的に取り組むまでには至っていない』『きっかけがあれば取り組みたい』という会員さまが多いこともわかってきました。
そこで取り組みのきっかけづくりとして、それまでSENQで開催してきたイベントとは異なる、課外活動などが有効ではないかということになり、周辺地域の清掃活動へつながっていったのです」(SENQ青山並木通りレセプション:齋藤さん)
地域の清掃活動、フードロス削減などの活動に手応えあり
SENQ霞が関、SENQ京橋の2拠点では、ビル周辺の清掃活動を年1回程度のペースで実施しています。屋外活動が気持ちのいい春~初夏に、有志の会員さまとスタッフでSENQオリジナルのTシャツを着用して行っています。
「会員さまには限られた人数で多くの業務を担うスタートアップ企業も多く、こうした活動に関心はあっても、会社単体ではなかなか取り組めないという状況もあったようです。SENQが旗を振ることで『企業として自然にSDGs活動ができるだけでなく、他の会員さまとの交流の機会もできる、とても良い活動だね』という反響をたくさんいただきました」(SENQ京橋レセプション:小山さん)
会員さまの様子も印象的でした。生け垣の中に入り込んだゴミを見つけて「宝探しのようで楽しいし、しかもキレイになって気持ちがいい」という方や、街ゆく人に喜んでいただくことで「良いことをしたという気分でやりがいを感じる、また参加したい」という方。それぞれがSDGsへの貢献だけでなく、自分自身への良い影響を感じていたようです。
「初めての清掃活動は、スタッフとSENQ霞が関の会員さま3名だけの小規模なものでした。そこで2回目は、全拠点のレセプショニストと連携して告知に力を入れました。もともと『ボランティアに参加したい』と相談をいただいていたSENQ六本木の会員さまに清掃活動のご案内をしたところ1社で10名もご参加くださいました」(SENQ霞が関レセプション:石田さん)
清掃活動第2回ではさらに、前回参加された方が同僚の方を誘って再度参加されたり、SENQ青山の会員さまも駆けつけてくださったりと、参加者20名を超える大幅増となりました。
「清掃中に互いに協力することで初対面の会員さま同士でも自然と会話が生まれますし、他拠点の会員さまも『霞が関には普段あまり来る機会がないので、今日はこの近くでランチを食べます』とおっしゃっていました。清掃活動を通して霞が関について知っていただくきっかけにもなって、良かったと感じています」(SENQ霞が関レセプション:石田さん)
清掃活動がSENQからの呼びかけで広まっていった一方で、フードロス削減を目的とした「SENQ de Sustainability」は、会員さまのお声から生まれた取り組みでした。SENQ霞が関にご入居のAcroXHoldingsさまから、経営されている「おむすび処『みこと』」で営業時間中に販売しきれなかった商品を、廃棄せずに活かしたいというご相談があったのです。
「みこと」の店舗はSENQ六本木から徒歩10分ほど。この距離であればお店の方にもスムーズに届けていただけるということで、週1日、2ヶ月半にわたってSENQ六本木でおにぎりの販売をするという取り組みが実現し、計61個のおにぎりが販売されました。
「フードロス削減に加えて、売上の一部を、子ども食堂の支援のために寄付されるということで、会員さまからは『SDGsの取り組みとして非常に魅力的だ』というお声をいただきました。また、店舗の営業が終了する17時以降の販売でしたので『お腹が空く時間帯に美味しいおにぎりが購入できてうれしい』『今週はどんな味があるのか楽しみにしている』というお声もありました。みなさま楽しみながらSDGsに貢献できる活動になったと感じています」(SENQ霞が関レセプション:石田さん)
2022年10月7日に行われたイベント「SENQの日」では、イベントに参加されたみなさんが、認定NPO法人「TABLE FOR TWO International」さまが実施している「おにぎりアクション2022」にトライしました。
これは、おにぎりの写真をSNSまたは特設サイトに投稿すると、1枚の写真投稿につき給食5食分に相当する寄付を協賛企業が提供し、NPOを通じてアフリカ・アジアの子どもたちに給食をプレゼントできるという取り組みです。
「イベントにケータリングとして提供された『みこと』のおにぎりを撮影して投稿していただこうと、私たちも撮影用の小道具を用意して臨みました。会員さまがSNSに投稿してくださっている様子を見て、こうした取り組みがSENQや、活動内容を知っていただくきっかけにもなることを実感しました」(SENQ京橋レセプション:小山さん)
廃材活用資材での野菜栽培などアップサイクル企画も
SDGsへの取り組みとして、今後はアップサイクルを目的とした企画も予定されています。そのひとつが、SENQ京橋で準備中の「野菜栽培」です。
「会員のみなさまにSDGsに関するアンケートを実施した際、『植物を育ててみたい』というお声をいただきました。確かに、家庭菜園で農薬を使わずに野菜を育てることはSDGsの『目標3. 全ての人に健康と福祉を』につながります。また、店頭での購入が減り、梱包材や容器の消費量も減るので『目標13. 気候変動に具体的な対策を』にもつながるのです」(SENQ京橋レセプション:小山さん)
こうして、野菜栽培でSDGsに貢献したいと考え始めた小山さんが相談したのは、SENQ京橋の入居者で農業資材を製造販売しているココカラ合同会社さまでした。ココカラ合同会社さまの主力商品「ココカラピート」は、主にインド、スリランカで栽培されるココナッツの殻であるヤシ殻をアップサイクルした天然培土。環境に配慮された循環型資材で、よりSDGsに貢献できる野菜栽培を、と考えたのです。
「当初は農業者さま向けに展開されてきた商品でしたが、ちょうど食育を想定した家庭菜園用キット『ココカラユニット』の発売を予定しているということで、この企画への協力も快諾してくださいました。『オフィスの中で野菜を育てることはなかなかないし、今まで接点のなかった会員さまにも知ってもらえる』と大変喜んでいただけました」(SENQ京橋レセプション:小山さん)
SENQの各拠点で実施されているコミュニティーイベント「Fika」でも、先日初めてアップサイクルへの取り組みが行われました。
「SENQ霞が関のレセプショニストから『Fikaで会員さまとコーヒーを楽しみながら、一緒にリフレッシュできるようなミニイベントを考えている』と聞きまして。そこで、ドリップコーヒーを提供する際に出るコーヒーかすをアップサイクルする取り組みを提案しました。
コーヒーかすは乾燥させることで消臭剤として活用できるので、巾着袋をご用意してコーヒーかすを詰め、消臭袋を作るワークショップです。ワークショップ後には、SENQ霞が関にご入居のAcroXHoldingsさまが経営されている“おむすび処『みこと』”より『SDGs弁当』をご用意いただきました。このお弁当には、SDGsの『目標3.すべての人に健康と福祉を』につながる、障がい者就労支援施設で栽培された野菜や、『目標7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに』につながる、物流にかかるエネルギーを削減する東京都赤坂で栽培された地産地消の野菜が使われています。こうしたことも含め、ワークショップを通して交流を深められる時間になったかと」(SENQ青山並木通りレセプション:齋藤さん)
ちなみに、SENQ霞が関のFikaで提供しているコーヒーはフェアトレード商品であり、『目標2. 飢餓をゼロに』とも関連が深い品です。飲み物の選び方といったちょっとした要素からも、着実に広がるシナジーを実感させられます。アップサイクル企画は、実はもうひとつ予定されています。
「日頃から、利用者の方がお忘れになったままのビニール傘が溜まってしまい、定期的に廃棄することをとてももったいないと感じていました。そこで再利用の方法を調べていたところ、ビニール傘を再利用して服飾小物を製作している会社があることを知りました。
傘から外したビニール部分を回収してもらい、買取り相当額を認定NPO法人「greenbird」さまへ寄付できるプログラムがあるということで、会員さまと一緒に傘からビニール部分を外す活動を行い、このプログラムへ参加する予定です」(SENQ京橋レセプション:小山さん)
ビニール傘がおしゃれなファッションアイテムになるというだけでもおもしろい取り組みですが、併せて、この活動を会員さまの忘れ物に関する注意喚起にもつなげたいと考えているそうです。
まとめ
こうしたSDGsへ貢献する活動を「一度やって終わりではなく、継続していくことが重要」だと考え、今もさまざまな取り組みを模索しているレセプショニストのみなさん。「参加してみたい」「うちの会社でこんなことができるかも」など、会員さまからのお声がけも歓迎しています。自社だけでは難しい取り組みも、SENQを巻き込むことで実現につなげられるかもしれません。
また、これからSENQへ入居して、SDGs活動へ参加してみたい方もぜひ、一度内覧へお越しください。それぞれの場所から、SDGs活動への参加へ一歩踏み出してみましょう!
(インタビュー:丸田カヨコ)