INTERVIEW
2020.07.13

新しいビジネスを打ち立てるには、机上で計画するだけではなく、自ら実践。キッチンカーを「食を通じて皆とつながれる」プラットフォームに。

この6月からSENQ京橋のある京橋エドグランに登場した、2台のキッチンカー。平日昼は日替わりで7店がランチメニューを提供し、平日夜と土日は日本各地のレストランのお取り寄せグルメを選んでトッピングを楽しめる「おた飯」を提供するなど、ユニークな試みで話題となっています。実はこの企画に携わっているのが、SENQのメンターを務めるハウス食品グループ本社株式会社 新規事業開発部の藤井 弾(ふじい だん)さん。ここでは、藤井さんのご経歴やキッチンカー運営について、そしてこれから取り組みたいことについて伺いました。

-----ご経歴と、現在手掛けていらっしゃる業務について教えてください。

ハウス食品グループ本社株式会社 新規事業開発部 藤井 弾(ふじい だん)さんハウス食品グループ本社株式会社 新規事業開発部 藤井 弾(ふじい だん)さん

藤井:私は1997年に新卒でハウス食品に入社しまして、6年ほど研究開発や商品開発に携わっていました。その後、商品企画関連の部署を経て国際事業部門へ移り、タイでの事業立ち上げメンバーとして現地に駐在。帰国後、現在の新規事業開発部へ入りました。

-----国際事業部門ではどのような取り組みをされているのですか。

藤井:国際事業ではまず「どこで何を売るか」の検討から取り組むことが多いです。例えば、あまり知られていないことですが、実はアメリカですとハウス食品は「全米一の豆腐メーカー」です。中国では、日本国内でもおなじみのカレー製品などを販売していますが、私が携わったタイでは、ビタミンCを効率的に摂れる機能性飲料を販売しています。我々が持っている食に関する技術と、現地の方々の実際のニーズをどう組み合わせるか?というところから検討することが多いので、国によって全く異なる製品を販売することになるわけですね。

-----新規事業開発部の業務内容について教えてください。

藤井:ハウス食品は一般消費者、いわゆるご家庭向けの調味料や加工食品を製造販売する事業を主としてきた会社ですけれども、現在の事業モデルに加えて、新しい事業に取り組むことでさらに成長するべく、その道筋を模索するといったところでしょうか。

新規事業開発部自らプロジェクトを起こして実践することもありますし、その一方で、社内のあらゆる部署に、新規事業を考える機運をもたらす仕組みを考えるといったことにも取り組んでいます。

----「新規事業を考える機運をもたらす仕組み」について、詳しく伺いたいです。

藤井:社内から新規事業のアイデアを募集する制度を昨年立ち上げまして、今夏から募集をかけ、運用していくことになっています。グループ全体ですと約6,000人の社員がおりますので、それぞれの仕事を通じて得たことを活かし、社内全体の成長のため、新たな取り組みに手を挙げてもらおうという狙いがあります。

これまでも研修としての事業プランニングのプログラムはあったのですが、机上で計画を立てることが中心でした。今回はそうではなく、実践する場を作って、形にしていこうという取り組みです。

今まさに「実践する」ということを大事にしていまして、例えば今回のキッチンカーも、その考えに根差しています。

-----キッチンカーの出店自体が「実践」にあたるということでしょうか。

藤井:そうですね。そして、その前段階からも実践を重ねています。キッチンカープロジェクトを起案したのは私の部下なのですが、1年半ほど前、新たなお客様との接点として、オフィスエリアで昼食に困っている、いわゆる「ランチ難民」に着目しました。昼食に困っている方々に対して、今キッチンカーという業態の飲食店が出始めています。そこでハウスでもキッチンカーを運営するという事業アイデアを出してきたのです。

飲食店の方に使っていただくだけではなく、例えば地方の名産品を販売してPRするといったこともできますし、もちろんハウス食品の製品を販売することもできます。つまり、キッチンカーをさまざまな使い方が考えられるプラットフォームとして考えています。

この事業案に対して、まずは「キッチンカーでの販売を実践してみて、ビジネスになるか検証しよう」というところから始めました。起案者である私の部下自らキッチンカーを借り、本社に近い出店スペースを押さえ、実際にキッチンカーで販売してお客様の声を聞く。そうすることで「これは事業化できる」と確証を得たわけです。その後実証を進めながら、現在京橋エドグランに出店中の2台を含めて、6台が稼働しています。

-----京橋に出店中のキッチンカーは、お昼に日替わりで7店の味が楽しめるそうですね。毎日通うオフィスだからこそ、バリエーション豊富なのは嬉しいです。

藤井:そうですね。京橋界隈のみなさんに楽しんでいただけるように、メンバーがこだわって出店者を探してきました。激辛料理で有名な「赤い壺」さんや、チベット料理を提供する「タシデレ」さんなど、キッチンカーとしては珍しい料理を出しているお店もあって、面白いと思いますよ。

-----お店の方々の反応はいかがですか。

藤井:当初は店舗をお持ちでない料理人の方の利用を想定していたのですが、実際には既に店舗をお持ちの方にもかなり関心を持っていただきました。キッチンカーの準備から営業許可申請などをサポートすることで、調理に関する準備にすぐ取り組めて、調理や接客に集中できるというところは喜んでいただいていますね。出店者様のなかには、「2号店を出す前に、キッチンカーでテスト販売したい」というような方もいらっしゃいます。

-----平日夜と、土日に実施されている「おた飯」もユニークな企画ですね。

藤井:EC販売、いわゆるお取り寄せをやっているお店のメニューを何品か選んで盛り合わせられるというのは面白いですよね。キッチンカーといえばワンプレートメニューが定番ですから。食べてみて、気に入ったメニューはキッチンカーの前にあるQRコードからWebサイトにアクセスしてご自宅へ通販することもできる。それで「おた飯(お試し)」なんです。

平日夜の営業は、帰宅が遅くなるオフィスワーカーの方が、夕食だけでも早めに、手軽に食べられると嬉しいのではないかと思いまして。土日もこのエリアはお買い物をする方や、旅行客などで賑わいますし、エドグランにはちょっと座って食べられるスペースもあるので、そういったところで楽しんでいただきたいと思っています。

-----コロナ禍の影響で、テイクアウトやデリバリーの需要が増えている今、飲食業関係者にも、消費者にもとてもメリットのある企画だと思います。

藤井:我々もこの状況を想定していたわけではないのですが、ライフスタイル自体が大きく変わりつつあるなかで、新しいライフスタイルのひとつとして、キッチンカーが定着してほしいと考えています。

-----最後に、今後取り組みたいことおよび食のビジネスを志す方へメッセージをいただけますか。

藤井:ハウス食品はBtoBのビジネスも手掛けていますが、BtoBの先のエンドユーザー、「C」まで考えるということが会社としてのDNAに刻まれています。例えば、飲食店様との取引の先には食事をされるお客様がいる。そこまで考えて、食事をされるお客様のために、飲食店様に何を提案するかというところでは、メンターとしてご相談に乗れると思います。

私自身も、ハウス食品の「食を通じて人とつながる」という考えに深く賛同していまして。これまではメーカーとしてプロダクトを提供することが多かったのですが、例えばキッチンカーのように、さまざまな形で食を通じて新しいコミュニケーションやネットワークを作っていきたいと思っております。

今はITなどのインフラもようやく整ってきて、食の業界も変化の時代になってきていると思います。この10年くらいはその変化を捉えて、新しい食のビジネス提案をできる時代になるのではないでしょうか。そういった志を持つ方々とぜひ連携させていただいて、新しい食の未来を作っていければと思いますので、ぜひ一緒にやりましょう。

キッチンカーと藤井さん

------ SENQ京橋でも、新しい食の未来につながるお手伝いができるのを楽しみにしております。本日はありがとうございました。

(インタビュー:丸田カヨコ)

❖ 関連団体 ❖
ハウス食品グループ本社株式会社: https://housefoods-group.com/index.html

 

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