オープンイノベーションが切り拓く、新たなビジネスの可能性

 2020.06.29  鈴木博子

現在、あちこちで聞かれる「オープンイノベーション」という言葉。欧米の動きを取り入れて、ようやく日本でもオープンイノベーションが加速しつつあります。現在、日本を取り巻いているこのブームは、日本においてどのような影響を及ぼすのでしょうか。そもそも、オープンイノベーションを通じて得られる具体的なメリットとはいったい、どのようなものでしょうか。日本におけるオープンイノベーションの現状を改めて振り返るとともに、特に、スタートアップ企業側からの視点で、未来の可能性を紹介します。

オープンイノベーションの「今」

加速する技術革新が社会構造を変革した

そもそもオープンイノベーション(Open innovation)とは、2003年に現UCバークレービジネススクール教授のヘンリー・チェスブロー氏が提唱したコンセプトのこと。

チェスブロー氏は、自分が発案したオープンイノベーションに関して、「オープンイノベーションとは、目標達成のための知識のインフローとアウトフローを活用して内部のイノベーションを加速し、イノベーションそのものの外部活用によって市場を拡大することである」と定義しています。

簡単にいえば、自社だけでなく他社や大学、地方自治体、社会起業家などの異業種が協働し、それぞれが持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウ、データ、知識などを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや製品開発、サービス開発、組織改革、行政改革、地域活性化などに繋げること。

日本について考えてみると、オープンイノベーションに対する機運は高まっています。経済産業省によると、“2016年度の実績で日本の研究費用の総額はおよそ18兆円。負担側、使用者側ともに筆頭は民間企業であり、72.2%を占めています”。日本でオープンイノベーションに対する注目が高まっている背景には、いくつかの理由があります。

出典:経済産業省「Society 5.0時代のオープンイノベーション、スタートアップ政策の方向性

(1)技術の進化が加速し、複雑化したため

IT技術の急速な進化やライフスタイルの多様化によって、研究開発から製品化までのリードタイムが短縮されたこと。また、付加価値の高い商品の開発が求められるようになったことから、自社のリソースやアイデアだけでは、イノベーションを創出し続けることが困難に。さらに終身雇用の限界や、人材の流動性が向上している現在、企業は外部資源に目を向けざるを得なくなっています。

(2)IoT 、ビッグデータ、AI解析が進化したため

IoTやビッグデータが進化したことにより、センサーや端末機器がインターネット上で結ばれ、そこから得られる膨大な消費者や個人行動のデータをAI解析できるようになりました。それにより、既存の産業バリューチェーンや部門の枠を超えて、スケールの拡大と知の進化による社会の最適化を実現する風向きが強まっています。

こうした事実を背景に、現在、日本ではますますオープンイノベーションが加速度的に進んでいます。それをけん引しているのが大企業からのオープンイノベーション志向の資金であり、この流れは今後も続くだろうと見込まれています。

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相互に補完する“未来型資本主義”

従来の資本主義の四大経営資源

いったい、どうしてこのようなオープンイノベーションが現在、日本で注目を集めているのでしょう。その背景には、従来の資本主義の限界があります。

これまで、資本主義の構成要素には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という4つがありました。それらは企業にとって重要な経営資源であり、良質な経営資源をどれだけ確保できるかによって、企業の競争力は決まります。

(1)ヒト

社員をはじめとした人材のこと。すべての経営資源と関係性が深い要素。近年、少子高齢化の影響を受け、人的資本の不足が懸念されており、ヒトの確保は非常に大きなテーマになっています。

(2)モノ

製品やサービス、そしてそれらを生み出す設備、機械などのこと。企業活動を行っていくためには、ヒトだけでなく、ヒトが扱うことのできるさまざまなモノが必要です。

(3)カネ

資金のこと。企業が成長するためには、人材を採用して育成したり、設備や機械を買ったりする必要があり、そのためには、お金が必要です。

(4)情報

企業が持っている顧客データやコミュニティとの繋がりなどのこと。技術が進化するとともに、ヒト、モノ、カネという有形の資産だけでなく、情報という無形の資産の経済価値が向上。情報は、知識資産や顧客資産となり、企業の競争力を向上させます。

これまでの資本主義に限界が到来

しかし、こうした4つの要素には、必ず限界があります。年々、少子高齢化が進んでいる現代の日本では、どの企業もすでに人材不足に悩まされるおり、現在のペースで人口減少が進めば、せっかくモノを作ったり、サービスを提供したりしても購入者や利用者はいなくなり、企業は利益をあげることができなくなるでしょう。また、技術の急速な進化により、企業は自社だけで新たなイノベーションを起こしたり、情報を入手したりすることが非常に困難になりました。

このような従来型の資本主義が限界を迎えたなかで、いわば、新しい潮流として登場したのがオープンイノベーションなのです。たとえば、資金力のある組織と、技術力やアイデアに長けた組織がお互いの強みと弱みを補完し合うエコシステムを構築すれば、『利益の追求』と『新たな価値の創出』の両立に繋がっていくでしょう。

1社では到底叶えられなかった未来が、複数の企業や団体が手を繋ぎ合うことによって実現できる。つまり、オープンイノベーションとは、従来の四大経営資源が限界を迎えた先に登場する新時代の社会連携であり、これまでの資本主義の概念を超越した、新しい未来型資本主義ともいえるのです。

オープンイノベーションの時代は、ますますフリーランスが活躍する時代に!

コワーキングスペースが出会いを担う

オープンイノベーションを活発化していくために必要なのは、なにより、“出会いの場を創出すること”です。そもそも、オープンイノベーションとは他社や大学、地方自治体、社会起業家などの異業種と手を結び合うことから始まるのですから、異業種と出会う機会がなければ、オープンイノベーションは始まりません。オープンイノベーションでは、フリーランスも重要な登場人物として大きな役割を担っており、大企業や官公庁と手を結び、新たなビジネスを創出している人も少なくありません。

しかし、一般の企業や組織と異なり、個人で活動しているフリーランスには、企業や官公庁とビジネス上での接点が少なく、ビジネスの端緒を作ることが困難である、という現状もあります。

その点で注目したいのがコワーキングスペースです。現在、多くのコワーキングスペースにはフリーランスやスタートアップ企業だけではなく、大企業のオープンイノベーション担当者、新規事業開発者の方々も入居しています。

日本土地建物が運営するSENQは、まさにオープンイノベーションを加速させる協業と共創の場として設立されたオープンイノベーションオフィスです。イベントや交流会、メンターやアライアンスパートナーの紹介など、さまざまな支援体制があります。

海外に目を向けてみれば、シリコンバレーのコワーキングスペースでは、世界のBig4などの公認会計事務所や、著名ベンチャーキャピタルファームなども入居しているため、新規事業の立ち上げが非常にスムーズ。こうした流れは、確実に日本にも到来すると見込まれています。

コワーキングスペースのように異業種の人たちが一同に、かつ、日常的に顔を合わせる場所は、現在、日本にそう多くありません。

まさに、オープンイノベーションの時代において、重要な機会創出の場となりうるのがコワーキングスペースであり、こうした“場”から新たな出会いが生まれ、ビジネスの創出に繋がっていく時代がはじまっています。

 

(ライター:鈴木博子

 

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