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ワーク・イン・ライフとは。ハイブリッドワーク時代の新しい価値観とその事例

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ワーク・イン・ライフとは。ハイブリッドワーク時代の新しい価値観とその事例

仕事を人生の一つの要素として捉える考え方「ワーク・イン・ライフ」。本記事では、その意味や企業での導入事例、導入時の課題と対策について解説します。

働き方の意識が変化

この数年で、ハイブリッドワークが急速に広まりました。以前はオフィスに毎日出社する企業が大半でしたが、在宅勤務を含めた柔軟な働き方を選択できるようになったことで、人々の考え方にも大きな変化が生まれています。

LINE株式会社が2022年7月に全国の18〜59歳の男女を対象として行った調査では、コロナ禍での働き方への意識の変化について「とても変わった」「やや変わった」と回答した人は合わせて5割弱にのぼりました。また、仕事とプライベートのどちらが大切かという設問に対しては、「プライベートの方が大切」「どちらかというとプライベートの方が大切」と回答した割合が全体の8割を超える結果となっており、仕事よりも私生活を重視する傾向が強いことがわかります。

このようにプライベートが重視される傾向にあるなかで、注目を集めているキーワードがあります。それが、仕事を人生の一つの“要素”として捉える「ワーク・イン・ライフ」です。本記事では、働き方に対する新しいアプローチともいえるワーク・イン・ライフの意味と、企業での導入事例、導入時の課題と対策について解説します。

ワーク・ライフ・バランスはもう古い? ワーク・イン・ライフとは

働き方を示すキーワードのひとつに、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉があります。もとは「仕事と生活の調和」という意味ですが、長時間労働の是正の文脈で使われることが多いため、”仕事が主体”という印象を受ける人も少なくないはずです。

総務省が2021年8月にまとめた「ポストコロナの働き方『日本型テレワーク』の実現」では、「『ワーク・ライフ・バランス』という言葉は、ワーク中心で人生というものを考えるニュアンスがあり、今後は、人生のなかに仕事があるという『ワーク・イン・ライフ』という言葉の方が馴染むという意見もあった」と記載されています。

つまり、在宅勤務によって個人の生活に仕事を取り入れる働き方を経験したことで、ワーク・イン・ライフの考え方が、より現実に即していると受け止められるようになったと考えられます。

オフィス家具大手の株式会社オカムラは、働く環境を提案する企業としてワーク・イン・ライフを提唱してきました。同社のWebサイトでは、ワーク・イン・ライフとは「仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康、学びなどと同じように、自分の人生の中の一つ」であり、「自分らしい生き方を想像し、自分らしい働き方を考えること」としています。

ワーク・ライフ・バランスに象徴されるように、今まではどう生きるかを考えるときも仕事を中心に考えざるを得ませんでした。しかし、ワーク・イン・ライフという新しい価値観においては、ワーカー自身が「自分の理想の生き方を思い描いて、どうすれば自分らしく活き活きと働けるのかを考えていく」ことができるのです。ワーク・イン・ライフは、主体性をもって生きることを後押しする考え方といえるでしょう。

事例から考える、ワーク・イン・ライフを実現する施策

では、ワーク・イン・ライフを実現するにはどのようなアプローチがあるのでしょうか。企業での導入事例をもとに考えていきます。

1.ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスでは、「Be Yourself:キャリアも、働き方も、自分らしく」というテーマを掲げ、多様な働き方に対応する制度を導入しています。その一つが2016年7月に導入されたWAA(Work from Anywhere and Anytime)です。

「WAA」とは、働く場所や時間を社員が自由に選べる制度のこと。同社では全社員が自宅やカフェなどで働くことができ、勤務時間も平日5時〜22時の間で自由に選ぶことができます。また1日の労働時間も自由で、月の所定労働時間に満たない場合は翌月に調整することが可能。場所と時間という制約を受けず、社員個人の価値観に合わせて、仕事に取り組むことができるのです。

同社はこの制度を通じて働き方の選択肢を広げ、全ての社員がワーク・イン・ライフを意識して、自分らしい生き方を選択できるようになることを目指しているといいます。制度導入後の社員アンケートでは、75%が「生産性が上がった」と答えたほか、67%が「新しい働き方が始まってから生活が良くなった」、33%が「幸福度が上がった」と回答しています。

また、「時間の使い方を主体的に選べるようになり、人生が変わった」「余計なストレスが軽減し、より仕事への意欲が増した」などの声も寄せられており、WAAの導入により、社員の人生に確かな変化が生まれているといえるでしょう。

2.NTTグループ

NTTの澤田前社長は2021年9月28日の会見で「リモートワークを推進し、ワーク・イン・ライフを推進していく」と宣言しました。同社では健康経営の文脈でワーク・イン・ライフを推奨する方針を掲げています。同日発表されたプレスリリースでは、具体的な取り組み内容として「職住近接によるワークインライフ(健康経営)の推進」を挙げ、「社員の働き方はリモートワークを基本とし、自ら働く場所を選択可能」としています。

さらに2022年7月からは、テレワークを基本スタイルとする「リモートワークスタンダード制度」を導入しました。社員の「住む場所」の自由度を高め、自分で働き方を設計できるようにすることで、ワーク・イン・ライフを推進するものです。この制度の利点として同社は、どこからでも働ける環境を整備することで転勤や単身赴任にまつわる悩みが解消され、異動によって起こりうる従業員の離職やモチベーションの低下を回避できることを挙げています

またリモートワーク環境の整備だけでなく、フレックスタイム制、変形労働時間制、裁量労働制、分断勤務など、柔軟な働き方に合わせた勤務制度も導入。加えて、PCのログオン・ログオフ時刻をシステム上に記録して労働時間を管理するほか、テレワーク下で生じやすいメンタルヘルスの相談窓口も設置しています。

同社では2013年から「時間と場所にとらわれない働き方の推進」として在宅勤務を含めた柔軟な働き方に取り組んできました。その取り組みは従業員のウェルビーイングに寄与するとともに、社員のエンゲージメント向上においても重要な役割を果たすものとなっています。

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ワーク・イン・ライフ導入時の課題と対策

ワーク・イン・ライフの実現に向けた働き方は、従来の出社を基本とする働き方とは大きく異なります。そのため導入時には、社内から反対意見が出てくることもあるでしょう。先述のユニリーバ・ジャパンでもWAA制度の導入時には、働く場所や時間が多様化することへの不安や不満の声が多数あったと、人事総務本部長の島田氏が同社のブログで語っています。

そこで必要となったのがマインドセットの変革でした。同社では任意参加の研修で、自分がどう生きたいのかを考え、それに合わせた働き方を考えることを促していったといいます。

また、制度導入時にはマネジメント層の”性善説”へのマインドチェンジも必要となります。島田氏は「せっかくの制度も性悪説に立って『社員がサボるのではないか?』などと疑っていると、ルールばかりが増え、結果的に使いにくいものになってしまいます」と、社員を信頼することの重要性を説いています。

「ワーク・イン・ライフ」は働き方の新しいコンセプトとなるか

人生に主軸を置き、理想とする生き方の実現を後押しするワーク・イン・ライフというコンセプト。その導入によって柔軟な働き方を選択できるようになることで、従業員がより働きやすい環境が整うことは間違いありません。

ワーク・イン・ライフの実現で求められる多様な働き方は、リモートワークへの対応だけが最適解ではないはずです。ワーケーションや週休3日制、スーパーフレックスタイムの導入、副業の緩和など多くの方法があります。また通勤しやすい場所にサテライトオフィスを設置したり、コワーキングオフィスを利用したりすることでも、ワーカーの働きやすい環境を整えることはできるでしょう。SENQでは、法人向けの多彩なワーキングスペースの運営とイベントの開催を通じて、ワーク・イン・ライフの実現をサポートしています。

優秀な人材の確保は、どの企業にとっても重要な課題です。ワーカーの求める働き方に即した環境をいち早く整備した企業こそが、選ばれる企業になるのではないでしょうか。

※SENQのサービスについては、こちらからご覧ください。

(Writer:Worker's Resort Editorial Team)

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