
「FOOD INNOVATION」をコンセプトに掲げ、食に関連するさまざまな企業が集まるユニークなオープンイノベーションオフィス、SENQ京橋。ここでは、SENQ京橋をはじめとするSENQ事業そのものを立ち上げた、SENQ京橋マネージャー 日本土地建物株式会社野口 美隆(のぐち よしたか)氏に、SENQ京橋のさまざまなサービス、会員さまの様子や特徴的なイベントについて伺いました。
-----SENQの特徴として、メンターやアライアンス企業の存在があります。SENQ京橋にはどのような方がいて、どのようなことをしているのですか。
SENQ京橋マネージャー 野口
野口:メンターやアライアンス企業には、大企業で新規事業を担当していてベンチャー企業に出会いたい方や、そもそもご自身がベンチャーとして尖った活動を続けていらっしゃる方が揃っています。そういう方々にご自身の知見を活かして「大企業はどういうところを協業のポイントと考えているか」や、これまで手掛けた仕事の「どこがキモで、どこが転換点だった」といったノウハウを会員さんへフィードバックしてもらっています。先輩として、会員さんが成長するための助言をくれるイメージですね。
具体的には、特に着任当初はイベントで登壇していただくこともありますし、会員さまから「会いたい」というオファーがあったら、随時お引き合わせしています。つまり、オファーがあれば個別に面談できるのですが、みなさん遠慮しがちなので、ぜひ積極的にオファーしていただきたいですね。
一番多い相談事はやはり「販路開拓」です。ただし、例えば小売業のメンターにオファーして「あなたのお店でうちの商品を売ってください」というのはご法度。営業するのではなく、営業の仕方を習うのです。「売るにはどうしたらいいですか」と聞いていただいて、「ブティック的なラインで売るのか、それとも数を売る方向でいくのか」といったことを一緒に考え、「そのためにはどこに販路を求めるべきか」といった助言をしてもらう。そうすることで、直接営業するよりも販路が開けてきますから。
-----メンターと入居企業の出会いで印象的だったエピソードなどはありますか。
野口:メンターの大企業さまがフレッシュハーブの栽培を植物工場で実験していたということで、植物工場の会員企業さまをお引き合わせしたところ、「植物工場の最近のトレンドは根モノだ」という話から「ワサビを植物工場で作ったことは?」「そういえばないですね、でもワサビ田は水耕栽培のようなものだから植物工場の技術を転用できるかも」という展開になりました。それから2~3年かけて共同で研究開発をした結果、2社間の技術連携協定の締結と、大企業さまからの会員企業さまへの出資に至ったのです。
私もアイデアが生まれる瞬間に立ち会って、「SENQはこういう場であってほしい」と強く思いました。ワサビは日本食をグローバルに広めるための重要な食材ですが、日本の固有種のため海外へ持ち出さずに国内生産量を増やす必要がある。工場生産できれば、その可能性も広がります。日本食のグローバル化の糸口になる研究が、SENQでの出会いから始まったわけです。
-----イベントなどもユニークなものが多いそうですね。
野口:「FOOD INNOVATION」をコンセプトに掲げているので、例えば会員同士の懇親会もただ単にケータリングを食べるのではなく、シェアキッチンで作ることもあります。普段もシェアキッチンを活用していて、オープン当初は、シェアキッチンに低温調理器具を導入したので、一週間ぐらい大量にローストビーフを作っては切り、切っては出して「皆さんもぜひ低温調理器具を使ってください」と実演していました。
例えば「たこ焼きパーティー」をやるとなれば、業者からたこ焼き器をレンタルしてきましたし、昨夏はそうめんパーティーもやりました。参加者がそれぞれおすすめのネタやつけダレを持参して、感想をシェアしあうという形でコミュニケーションを促進しました。
会員さまに食材や商品をいただくことも多いので、それがイベントにつながっていくこともありますね。ポン菓子を作っている会員さまと協力し、ポン菓子にいろいろな味付けをして、テイスティングしてみようというイベントもありました。
-----SENQ京橋は特に和気あいあいとした雰囲気が印象的で、イベントの様子も目に浮かびます。
野口:SENQ京橋のレセプションスタッフはとても明るくてフレンドリーですから。イベントも、スタッフが一番楽しんでいます(笑)。京橋自体が大人の街ということもあり、会員さまの年齢層が他の拠点よりも少し高めなので、スタッフもかわいがってもらって、いい雰囲気ができている感じですね。
また、建物自体が全面開口で明るいことも施設の雰囲気づくりに貢献していると思います。内装もそれを活かしているので「天井が高くて開放感があるので気持ちがいい」と言っていただくことも多いです。短時間のドロップイン利用も可能なのでぜひ多くの方にSENQ京橋を体験していただければ嬉しく思います。
------ありがとうございました。
(インタビュー:丸田カヨコ)