
「LEAD JAPAN」をコンセプトに掲げ、官民連携を軸に次世代の日本を牽引せんとする企業が集まるコワーキングスペースSENQ霞が関。官民双方での業務経験を活かしSENQ霞が関のマネージャーとして奮闘する、日本土地建物株式会社の川島 興介(かわしま こうすけ)氏に、SENQ霞が関の特徴や施設概要、そしてこれからのSENQ霞が関について伺いました。
-----ご経歴と、SENQ霞が関に関わるきっかけについて教えてください。
SENQ霞が関マネージャー 川島
川島:私は2019年11月に日本土地建物に中途入社しまして、実はまだマネージャーに就任して2カ月ほど(取材当時)です。学生時代は法律を勉強し、新卒で 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社しました。在職中のうち2年間は内閣府に出向し、日本国内の新しい宇宙法を作る経験をさせていただきました。
その後JAXAに戻り、宇宙事業における研究成果(バッテリ技術、姿勢制御技術等宇宙機を運用する上で重要となる要素技術)を宇宙以外の業界の研究成果と掛け合わせることで、新たな技術や事業を生み出す、いわゆる研究のオープンイノベーションの活動を担当していくうちに「宇宙業界だけではなくさまざまな業界の人たちをつなげたい、自らの経験を活かす意味でも『官民連携』を一つの軸に据えたい」と考えるようになりました。
その過程で、まさにこのSENQ霞が関が、官庁に近い好立地で「官民連携」をコンセプトに展開していることを知り、ここであれば自分の思いを実現できると思い、転職するに至りました。
-----まさにSENQ霞が関が、理想の「場」だったのですね。そのSENQ霞が関について、詳しく教えていただけますか。
川島:SENQ霞が関は、2017年2月に開業しました。SENQは拠点毎にエリアの特性を生かしたテーマを据えて展開しており、官庁街でもある霞が関では、官民連携を推進し社会に価値を提供することを目標に「LEAD JAPAN」というテーマを掲げています。
テーマに合わせて、施設全体に和のテイストを取り入れているのも特徴です。木目調のインテリアや暖簾、格子などのアイテム、掘りごたつをイメージさせるスペースなどもあります。居心地の良さについては、ご利用の皆様に好評をいただいています。
写真:エントランスには和テイストの格子窓。SENQのロゴが入っています
写真:掘りごたつの打合せスペース
-----SENQ霞が関はスペースのバリエーションもかなり多いそうですね。
写真:ダウンライトで落ち着いた雰囲気のあるコワーキングスペース
川島:はい。いわゆるワークスペースには、オープンな「コワーキングスペース」から、個室ではないけれども少し仕切られていてプライベートな空間を守りながら利用できる「ブース」、入居者専用の空間としてご提供している「ルーム」がございます。
また「会議室」は3室、それに加えて簡単な打合せができる「ボックス席」を5箇所用意しています。
写真:ボックス席
イベントスペースとしても、80名ほど収容できる「ラウンジ」と、40名ほど収容できる「サロン」の2つのスペースがあります。アクセスが良く、キャパシティーも広いということで、毎月5~6件ほどのイベントがコンスタントに行われています。
写真:ラウンジ
写真:サロン
空間設計においては、「発散と集中」を意識し、ロの字型の配置は、全体が見渡せて、オープンな気持ちで発散しながら作業ができるようになっています。一方、ブース付近は照明も少し落として、個人で集中して作業がしやすい空間になっています。
-----入居企業はどのような業種の方が多いのですか。
川島: SENQには官公庁や自治体がパートナーとなる「パブリックパートナー制度」がございます。協業候補先の紹介や、イベントの共同開催、各自治体内のインキュベーション施設との連携などを通じて、運営に協力していただくというものです。自治体としては大分県、宮崎県日向市、宮崎県新富町、福井県鯖江市、行政機関として私の古巣であるJAXAも名を連ねています。
そのためか、地方創生に関する事業を手掛けている企業、あるいは行政機関向けのIT系事業を手掛けている企業などが中心ですね。年代も幅広く、ベテラン年代の方から、学生で起業した方がコワーキング会員になられているケースもあります。男女比も概ね半々程度です。
最近は行政向けの技術、いわゆる「Govtech」技術を持つベンチャー企業が増えてきていていまして、例えばSENQ霞が関の会員様にも、補助金事業の申請を簡略化するシステム構築を手掛けている企業があります。そういった方々がよりSENQ霞が関に集まることで、自治体の方々がここにいらした時に「こういう技術がありますよ」とご紹介したり、「それはITの力でもっと最適化できるかも」とご提案できる。そういったことが地方創生につながるはずなので、Govtech企業の誘致も積極的に進めたいですね。
-----霞が関という立地も、「官民連携」を実践する上ではうってつけですね。
川島:はい。特にお忙しい官僚の方々には来ていただきやすい場所ではないでしょうか。官民連携イベントなども多数開催していますし、立地の特性とテーマが非常にマッチしています。
連携を進める上でも、日々のコミュニケーションの積み重ねが大事になってくるので、今後は、官僚の方々とのランチミーティングなども行いたいと考えています。というのも、官僚の方々は勉強熱心だけれども、その一方で勉強できる時間がランチタイムか早朝か夜遅くしかない。そのランチミーティングをここで活性化させたいと考えています。
-----SENQ霞が関に関心を持っている方へ、メッセージをお願いします。
川島: SENQ霞が関はもっとテーマを尖らせていきたいと考えています。「LEAD JAPAN」という基本テーマを掲げつつ、その中身をもっともっと尖らせることで、ここから官民連携で新しい日本の形が生まれていく、そういう「官民連携の聖地」にしたいという強い気持ちを持っています。皆さんの持っているアイデアや技術を掛け合わせて、次の日本の姿というのをここから一緒に作っていきたいと考えています。興味を持っていただけた方、ぜひSENQ霞が関に来ていただいて、共に語り合いましょう。
------ありがとうございました。
(インタビュー:丸田カヨコ)
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