beforeコロナとafterコロナ。フリーランスの働き方はこう変わる
新型コロナウイルスの影響により、フリーランスの働き方も大きな変化を余儀なくされました。対面でのコミュニケーションの機会が減ったことにより、営業チャンスを失った人もいるでしょうし、契約先の業績が変化したことで受注予定がキャンセルになったという人もいるでしょう。
しかし、長期的な視点でみれば、この変化は必ずしもネガティブなものばかりではありません。例えば「コンタクトレスビジネスが定着したことにより、今後はますます時間と費用の効率化が進む」などのメリットもあります。
また、ヤフー株式会社のように、より柔軟な働き方を目指して副業先としての人材受け入れを開始している企業もあります。
こうした渦中にあるフリーランスの働き方は今後、どのような変化が予測されるのでしょうか。現状を踏まえ、フリーランスが今から準備しておきたいことを紹介します。
新型コロナウイルスがフリーランスに影響
「現在の仕事に新型コロナウイルスの影響がある」と答えるフリーランスはアンケート回答者の77%
新型コロナウイルスは、フリーランスに対して大きな影響を与えています。INTLOOP株式会社は2020年3月31日〜4月3日にかけて、「フリーランス人材への新型コロナウイルス感染症の影響アンケート」を実施。
その結果、「現在の仕事への新型コロナウイルス感染症の影響の有無」を聞いたところ、全体の77%のフリーランスが「影響がある」と回答しました。また、決定していた仕事が無くなった、仕事内容が変更となったと答えたフリーランスに、具体的な仕事量の変化を聞いたところ、85%が「仕事量が減少した」と回答。また、契約金額が変更になったと答えた方に、現在の収入の状況を聞いたところ、75%の方が「収入が減少した」と回答し、さらに「まったく収入がない」という回答も16%ありました。
さらに、株式会社クラウドワークスが2020年4月、フリーランスを対象に行った調査でも、65.1%が「収入に影響が出た」と回答。仕事への影響(複数回答)は「案件が減った」が47.5%、「受注予定がキャンセルになった」が18.5%、「進行中案件の遅延」は16.9%となりました。
このように、調査によって数値にばらつきはあるものの、今回の新型コロナウイルスの感染拡大が、フリーランスに対して大きな影響を与えていることは明らか。企業勤めをしている会社員と異なり、「いざという時に守ってくれる存在がない」という不安定さが浮き彫りになりました。
出典:
INTLOOP株式会社:INTLOOP調べ「フリーランス人材への新型コロナウイルス感染症の影響アンケート」
https://www.intloop.com/news/questionnaire-report/
株式会社クラウドワークス
https://crowdworks.co.jp/news/0009794/
新型コロナウイルスを契機にビジネスが成長したフリーランスも
コンタクトレスビジネスが台頭し、市場が世界へ拡大
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、必ずしもネガティブなものばかりではありません。「仕事が減った」「収入が減少した」と回答するフリーランスがいる一方で、「仕事の案件が増えた」「コロナ前より収入が増えた」と回答する人も、少なからず存在します。
そうした人たちはこのコロナ禍において、一体どのような対策を講じたのでしょう。彼らの話をまとめてみると、次のような事柄が挙げられます。
(1)コンタクトレスビジネスが進み、時間と経済が効率化した
新型コロナウイルスの影響により外出自粛となったことで、日本でも急速にリモートワークが浸透。その結果、会議や営業などのオンライン化が進んでいます。
例えば初対面の人に営業を行う場合、確かにリアルでのコミュニケーションの方が、熱意が伝わりやすく、説明もしやすいため有利かもしれません。しかしその反面、オンラインによる営業では、訪問時間を省略化できたり、訪問するための交通費や労力をカットしたりすることができます。
空いた時間を他の業務にあてることもできますし、営業を受ける側にとっても時間を工面することが容易になるため、商談がまとまりやすくなります。コンタクトレスビジネスは時間と経済を効率化するための、有効な手段といえるでしょう。
(2)オンライン営業により、世界へ市場が拡大された
遠隔地のクライアントでも、インターネットを介したオンライン営業ならつながりやすくなります。日本のみならず、海外に対しても積極的にアプローチできますし、特に現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、世界的にクローズドの状態になっていますから、オンラインを通して新しいサービスや商品の情報を入手できることは、営業を受ける側にとってもビジネスチャンスとなるはず。
実際、新型コロナウイルスを契機にビジネスを大きく伸ばしているフリーランスは、営業力を強化したり、営業方法を拡張したりして、広く世界へ市場を拡大している人が目立ちます。
(3)都市と地方での拠点併用が進む
リモートワークが進むことによって、住む場所やオフィスの所在地に関係なく、仕事をすることができるようになります。すでにフリーランスの一部では、「普段は地方を拠点に作業を行い、必要に応じて東京などの都市へ出てくる」というハイブリッドな働き方を実現する人たちが出始めています。
プライベートな時間を豊かにすることで仕事の効率もアップし、ワークライフバランスも充実。さらに、地方で新たなビジネスを生み出すことにより、地方創生にも貢献しています。
今後、フリーランスに求められる能力とは?
自分の強みを正しく伝える「セルフブランディング」
それでは今後、フリーランスがafterコロナの時代を生き抜いていくために、どのような技術を身につける必要があるのでしょう。
まず必要なのは、「セルフブランディング」。ひとことでいえば「営業力」です。すでにお話しした通り、今後、オンライン営業が浸透し、世界へ市場が拡大されていけば、フリーランスにとってはビジネスチャンスが増えることになりますが、裏返せば、それだけ世界からライバルが集まって、市場競争が激化するということ。そうしたなかを勝ち上がっていくためには、顧客に自分を選んでもらうための営業力が必要です。
「フリーランスにとって必要な営業力」と聞いて、「電話やメールで営業すること」「コネクションを作ること」など考える人も多いかもしれませんが、それ以上に大事なのは、「自分にはどういうことができるか」ということをできるだけ具体的に相手へ伝え、理解してもらう力。さらに、依頼された業務を正確かつ制限時間内で成し遂げるという、誠実な仕事ぶりを積み重ねていくことが、営業力のベースになるのです。
まずは自己分析をしっかり行って、自分の強みや特性を知ること。そして、それを相手へ伝えるためにはどのような方法が良いのか考えること。
このafterコロナの時代を生き抜くために、セルフブランディングについてしっかり取り組んでみると良いでしょう。
コツコツとスキルを拡大したり、専門性を高めたりする努力も
さらに大事なのは、自分のスキルを拡大することです。実際、beforeコロナと比べて収入が増えているフリーランスの大半が、コロナ禍の影響が強い時期に行ったこととして、「スキルの幅を広げられるような経験を積んだ」「専門性を高めるために勉強した」と回答しています。
「スキルの幅を広げること」と「専門性を高めること」は一見矛盾するもののように思えますが、自分にとって“新しい武器を身につける”ということでは同じ。積極的に新しい技術を身につけたり、これまでの専門分野を突き詰めたりして、現在の自分の「プラスアルファ」の能力を身につけることで、ライバルに差がつき、クライアントに選んでもらいやすくなります。
オンラインによる営業だけだとどうしも人脈に幅が生まれないという場合には、SENQのコワーキングスペースに出掛けて、リアルな対面コミュニケーションを積むこともおすすめ。セミナーやワークショップなどに参加して、同業者とのつながりをもつのも人脈を形成するのに役立ちますし、お互いにとっても良い刺激となるでしょう。
このように、afterコロナの時代はbeforeコロナの時代と異なる行動パターンやスキル獲得が必要になってきます。今後、いつおさまるかわからないコロナ禍。長期的な視点でものを考え、この時代を生き抜くための施策を一歩一歩確実に行っていくことが必要です。
(ライター:鈴木 博子)