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フリーランスにまつわる税金の基本【前編】税金はどう決まる?

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フリーランスにまつわる税金の基本【前編】税金はどう決まる?

1年に一度の確定申告。面倒に感じる方も多いと思いますが、お金に関わる重大イベントのひとつです。次年度の税金の増減、還付金の金額など、今後の運転資金に関わってくるのですから、「知らなくて損していた」ではあまりにももったいないもの。税金を熟知するのは難しくても、フリーランスなら税金の基本だけでも知っておく必要があります。

前編では税金の最も基本的な部分と、「フリーランスなら青色申告」と言われる理由をご説明します。

税金はどう決まる?「経費」「所得控除」の仕組みのキホン(所得税・住民税)

税金はどう決まる?

フリーランスが支払う税金の金額は、どうやって決まるのでしょうか。「稼いだ金額によって税額が変わる」というのは間違いではありませんが、正しくは「課税所得によって税額が変わる」です。もう少し詳しく見てみましょう。

課税所得とは所得税の課税対象となる所得のことで、「売上から経費を引いて、さらにさまざまな所得控除を引いた金額」のことを指します。

課税所得=売上(収入) - 経費-各種所得控除

つまり、

「経費」や「所得控除」の金額が大きいほど「課税所得」は下がり、

   ↓

「課税所得」が下がれば「税金」の負担が減る

というわけです。

「経費」だけでなく、「所得控除」を漏れなく申告すれば、より税金の負担が軽くなります。「所得控除」にはどのようなものがあるかおさえておきましょう。

確定申告は「65万円の青色申告特別控除」 を選択しよう

フリーランスならまずやっておきたいのが青色申告。青色申告とは、1年間の収入や取引状況を一定の水準で記録した帳簿をもとに申告をする場合に受けられる申告制度です。

青色申告には「10万円の青色申告特別控除」と「65万円の青色申告特別控除」の2種類※があります。

青色申告を選択すると、基本的には最大10万円の青色申告特別控除を受けることができます。ただ、最大65万円の青色申告特別控除を受けたほうが税金の負担が軽くなるため、ぜひとも「65万円の青色申告特別控除」を選択したいところです。

最大65万円の控除を受けるためには、「正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)」にしたがって、日々の取引を記帳する必要があります。正規の簿記の原則で作成した「貸借対照表」と「損益計算書」を確定申告書に添付して、確定申告の申告期限内に提出する必要があります。

正規の簿記の原則などと聞くと、ちょっとハードルが高いと感じてしまうかもしれません。しかし、年末に貸借対照表と損益計算書が作成できれば、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて、簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。

また、経理が苦手という方でも、複式簿記で「貸借対照表」と「損益計算書」が作成できる確定申告ソフトが市販されているため、ソフトの使い方を覚えれば青色申告ができます。ぜひ、「65万円の青色申告特別控除」にチャレンジしてみましょう。

※令和2年分以後の所得税の申告から青色申告特別控除が変わり、「10万円の青色申告特別控除」「55万円の青色申告特別控除」 「65万円の青色申告特別控除」 の3種類になります。詳細は後ほどご紹介します。

青色申告には特別控除以外にもメリットがある

青色申告のメリットは特別控除だけではありません。最長3年間赤字を翌年に繰り越せて、翌年に利益が出た場合には繰り越した赤字分を相殺できる「純損失の繰越控除」や、同一生計の配偶者などに支払った給与を経費にできる「青色事業専従者給与」、一定の要件のもとに30万円未満の減価償却資産を購入した場合に合計300万円まで一括で償却できる(費用に計上できる)「少額減価償却資産の特例(※)」などの制度があります。

※適用期間:令和42022)年331日まで

参考:経済産業省ウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2020/download/06zaimu.pdf

令和2年分以後の所得税の申告から! 「e-Tax」未導入は青色申告でも65万円→55万円控除に

平成30年度の税制改正で、令和2年分以後の所得税の申告から、正規の簿記の原則で記帳している方が受けられる青色申告特別控除の額が「65万円から55万円」に引き下げられます。しかし、一定の条件を満たす方は青色申告特別控除が最大65万円となるため、青色申告特別控除の額は「最大10万円」「最大55万円」「最大65万円」の3種類になります。

最大65万円の青色申告特別控除を受けることができるのは、正規の簿記の原則により記帳している方のうち、次のいずれかに該当する方です。

1.仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること

2.所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと

電子帳簿保存とは

電子帳簿保存制度の適用を受けるには、「あらかじめ税務署長等の承認を受け、かつ、一定の要件に従った形式」であることが求められます。そのため、税務署長等の承認を受けておらず、エクセルなどで作成した帳簿で管理している場合は該当しません。これから青色申告にチャレンジするフリーランスの方には、かなりハードルが高いでしょう。

e-Taxとは

インターネットを介して確定申告等が行えるシステム「e-Tax」は、自宅から時間を気にせず確定申告の提出ができるとても便利なサービスです。さらに、「e-Tax」で確定申告をすれば、最大65万円の青色申告特別控除も受けることができるため、フリーランスの方におすすめしたい申告方法です。

なお、e-Taxにはマイナンバーカードのほか、ICカードリーダライタの取得・設定、開始届出書の提出など、さまざまな事前準備が必要になります。特に、マイナンバーカードは申請から入手まで1カ月以上かかることがあるため、持っていない方は早めに取得しておきましょう。

参考:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf

青色申告を受けるには事前の申請が必要!

青色申告を受けるためには、事前に「青色申告にします」と申請しなくてはなりません。

申請方法は?

納税地の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

申請の期限は?

青色申告の申請は、開業したばかりの方は「開業から2カ月以内」、開業して時間が経過している方は「青色申告の承認を受けようとする年の315日まで」などの期限があります。早めに申請をしないと、青色申告が翌年になってしまうので注意しましょう。

65万円の青色申告特別控除を受けるには?

最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、申請する際に簿記方式欄で「複式簿記」を選択しなければなりません。

 

※詳しくは、関係機関や税理士等にご相談ください。

(ライター:ときよし 監修:斉藤 勇/ファイナンシャルプランナー)

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