ハイブリッドワークに合わせたオフィスのつくり方――出社率や一人当たり面積の捉え方とは?
ハイブリッドワークに合わせたオフィスとは
業務内容や行動スケジュールなどに応じて、働く場所を選べるハイブリッドワークを導入する企業は少なくありません。そういった企業を中心に、新しい働き方に合わせたオフィス環境の見直しが行われています。
では、ハイブリッドワーク下でより働きやすいオフィスをつくるには、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか。従来のオフィスづくりと異なる点にも触れながら、ハイブリッドワークに合わせたオフィスのつくり方を、具体的なステップ別に解説していきます。
ハイブリッドワーク向けオフィスの構築に必要なステップ
ハイブリッドワークに合わせたオフィスづくりを進める際は、「1.目的を明確化→2.現状分析→3.プランづくり→4.運用ルールの策定・周知→5.評価・改善」の順に進めていくとよいでしょう。
STEP1.目的を明確化
オフィスづくりを進める際は、ハイブリッドワークを導入する理由や課題を整理した上で目的を明確化します。多様な働き方の実現による人材獲得や離職防止がハイブリッドワークの導入理由であれば、より働きやすく魅力的な職場環境の整備がオフィスづくりの目的となります。コミュニケーション上の課題が生じている場合には、コミュニケーションを活性化させて生産性を高めることが目的となるでしょう。
STEP2.現状分析
目的が明確化されたら、次は現状分析を行います。ハイブリッドワークに合わせたオフィスづくりで特に重要となるのは、「一人当たりの面積」「出社率」「スペースの利用状況」「ニーズの把握と分析」です。
・面積配分の現状調査
まずは現在の執務スペースの一人当たりの面積と、執務エリア内のストレージ、機器スペース、通路などをそれぞれ測定します。また、受付、ロビー、会議室、応接室、ロッカールーム、資料室などの業務支援エリア、社員食堂、医務室、売店、リフレッシュルームといった福利厚生スペースについても、用途別に面積を把握しておきましょう。
・出社率の現状把握と予測
出社率について、勤務管理データや入退出データなどを使って調べましょう。可能であれば曜日や時間帯毎の値も算出しておくと、新たな課題やニーズに気づける場合もあります。また、今後の出社率の予測値と目標値、出社に関する方針についても整理しておきましょう。
・各スペースの利用状況の把握
オフィス出社時に、どこでどのような作業をしているのか、その割合について調査します。例えば、個人作業、簡単な相談、Web会議、対面での打ち合わせなどを、それぞれどこで何時間行っているのか、日報や工数管理表、アンケートなどから算出します。オフィス出社時の従業員の働き方、各スペースの利用方法を確認しておくことで、どのような機能をもったスペースが必要となるのか、自ずと把握できるでしょう。
・ニーズ分析
従業員へのアンケート調査で、ハイブリッドワークやオフィス環境に対する意見を聞き出し、ニーズの把握を行います。オフィス完成後に行う「評価・改善」のステップで成果を定量的に把握しやすいよう、アンケートは自由回答だけでなく選択回答や数値評価(5段階評価など)を取り入れたものにすると良いでしょう。
STEP3.プランづくり
目的と現状分析の調査データをもとにプランづくりに入ります。ここではオフィスづくりの要であるプランニング時に考えておくべき項目を紹介します。
・オフィスのスタイル
まずは目的に応じて、どのようなオフィスのスタイルにするかを考えます。コミュニケーションの活性化を期待する場合は、好きな席で仕事ができるフリーアドレス制が社員同士の交流を増やすのに効果的です。より柔軟な働き方を実現したい場合には、業務内容や状況に応じて働く場所や時間を選択できるABW(Activity Based Working)を採用し、用途別の業務スペースづくりやサテライトオフィスの設置を行うと良いでしょう。
全員分の固定席を用意しない場合は、座席数は現在の出社率だけでなく今後の出社率の予測値および目標値を考慮して、余裕をもった数を準備することをおすすめします。
関連記事:フリーアドレス、ABWとは――ハイブリッドワーク時代に適したオフィススタイルの選び方
・出社率に応じた一席当たりの面積
ハイブリッドワークの導入企業では一般的に、オフィスの利用人数は在籍人数よりも少なくなります。そのため、出社率から用意すべき席数を計算した「一席当たりの面積」を、一人当たり面積の代わりとします。この「一席当たりの面積」を、現在のオフィスの一人当たり面積と比較して、どの程度の広さを確保すべきか考えるとよいでしょう。
ザイマックス総研が2023年1月に発表した調査レポートによると、2022年の在籍者一人当たりの面積は3.66坪、出社率で換算した場合の一人当たり面積、つまり「一席当たりの面積」は4.88坪となっています。
広さはオフィスの快適さや働きやすさと密接に関わります。面積を削りすぎると席の間隔が狭くなったり動線が悪くなったりしてストレスが生じ、業務効率や従業員満足度が下がる可能性もあります。
・各エリアの機能と面積
執務エリア以外に、業務支援エリア、福利厚生エリアについても、利用状況やニーズ分析の調査データをもとに、必要とされる機能と広さを考えます。
ハイブリッドワークの導入企業ではコミュニケーションの活性化を期待して、気軽に打ち合わせや雑談ができるミーティングスペースやカフェコーナー、ラウンジなどの共用エリアを広げる例も増えています。また、Web会議の増加により執務エリアではソロブースのニーズが増加しています。
STEP4:運用ルールの策定・周知
オフィスづくりの目的を早期に達成するには、運用ルールを策定することが重要です。それぞれのスペースにどのような機能があり、どのように使うことを期待しているのか、説明会などで周知するとよいでしょう。
ルールの策定は、従業員が新しいオフィスを有効活用して成果を上げる手助けになるほか、社内トラブルの防止にもつながります。
STEP5:評価・改善
オフィスの完成後は、従業員にアンケート調査を行うなどして効果検証を行います。想定通りにはいかなかったことや従業員アンケートで改善を求められたことについては早急に対応することで、従業員の満足度を上げることにつながります。
また、事前に行ったアンケートと比較して評価を行うだけでなく、継続的な改善を行うためのアクションプランの策定も行いましょう。
サテライトオフィスの導入でさらに働きやすく
ハイブリッドワークを導入している企業では、メインオフィスの面積を減らし、サテライトオフィスを借りるケースも少なくありません。メインオフィス以外に従業員の利用しやすい場所に拠点を設けることで、より働きやすい環境を効率的に整えていくことができるのです。
SENQは東京都心の便利なエリアにシェアオフィス・コワーキングスペースを展開しており、サテライトオフィスとしても多くの企業様にご利用いただいています。週に数回、必要なメンバーだけで集まりたいというご要望に合わせた、フレキシブルな法人向けコワーキングプランもあります。法人向けプランでは複数拠点の利用も可能なため、より柔軟な働き方を実現することができます。
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(Writer:Worker's Resort Editorial Team)