スタートアップにそろえるべき人材
スタートアップは限られた人数で事業を回していかなければなりません。実働からブランドイメージまで一人の人材が担う役割が大きいので、少数精鋭であることが“基本”ともいえます。では、経営者はどのようにして自社のメンバーをそろえていけばいいのか、メンバー選びの考え方、人材募集の方法、採用時に気をつけるべき点を紹介します。
スタートアップにそろえるべき人材は「ゴレンジャー」
「そうそうたるメンバー」は全員がリーダーになってしまいがち
少数精鋭といっても、むやみに優秀な人材をかき集めればいいというわけではありません。皆を引っ張っていくリーダータイプばかり集まると「船頭多くして船山に上る」ことになってしまいます。株式会社ユニコーンファームCEOの田所雅之氏も、SENQ六本木のイベントで、成長できるスタートアップのメンバーを戦隊ヒーロー「ゴレンジャー」に例えて「リーダー=アカレンジャーは一人でいい」と説いています。
特性が違う「ゴレンジャー」をそろえよう
田所氏が提唱する「スタートアップのゴレンジャー」のメンバー構成を見てみましょう。
アカレンジャー :リーダー(CEO、CCO)
アオレンジャー :冷静なエンジニア
キレンジャー :人事関連のスペシャリスト、ムードメーカー
モモレンジャー :デザインのHipstar
ミドリレンジャー:成長戦略を立てることができる参謀
重要なのは、バランスよくそれぞれ違う特性を持っていること。特性が偏ると、仲は良くても事業のバランスが悪くなりがちなのです。
メンバーがもし2人であれば、お笑いでいうボケとツッコミのように、お互いを補いあうメンバー構成を意識することが重要です。
「身近で集まったメンバー」は危険なことも
スタートアップでは大学の同級生や夫婦など、身近な人材で集まってメンバーを構成することも少なくありません。たとえ自分たちではそれぞれ特性が違っているつもりでも、距離が近いゆえにお互いの個性を見誤ってしまい、ふたを開けてみれば皆アカレンジャーだった……といったことも考えられます。違う視点でアドバイスしてくれる相談相手などを見つけておきたいところです。
スタートアップにおすすめの人材獲得方法
自社Webサイト&SNSを利用する
メリット:会社のビジョンを自由にアピールできる
デメリット:他の方法と併用しないと求職者に情報が届きにくい
人材獲得のためにまずやっておきたいのが、自社Webサイトの見直しです。直接求人情報を載せるのはもちろんですが、他媒体などで求人情報を知った求職者も、多くはその会社のWebサイトを検索し、社風などをつかもうとします。自社のWebサイトで会社のビジョンをしっかり示すことが、自社の方針に共感する人材を集めることにつながるのです。
Webサイトの見直しや求人情報の掲載が完了したら、SNSで情報を拡散して多くの人の目に触れるようにしましょう。
ハローワークで募集する
メリット:費用をかけずに広く求職者へ情報を届けられる
デメリット:ミスマッチの人材も集まりやすくなる
ハローワークでは、無料で求職者へ求人情報を届けることができるため、他の方法と並行して手配しておくのがおすすめです。ただし、スキルや経験など、欲しい要素を絞り込んで募ることが難しいため、ミスマッチ人材の対応に時間や手間をとられてしまう可能性もあります。
求人メディアに募集広告を出す
メリット:欲しい人材に情報が届きやすく、費用対効果を上げられる
デメリット:メディア選択を間違うと費用対効果が下がる
求人誌や転職情報サイトなどに広告を出す方法は、費用も効果も種々さまざまです。スキルを問わない場合は広く求人情報を拡散するために大手メディアを利用する、専門職を求める場合は業界専門誌に募集を出すなど、目的をしっかりもって取り組むことで、欲しい人材に情報を届けやすくなります。
人材紹介会社から紹介してもらう
メリット:スキルや経験などニーズに合う人を紹介してもらえる
デメリット:採用にあたってまとまったコストがかかる
即戦力の人材を求める場合や、採用を急ぐ場合は、こちらの欲しい要素を踏まえて人材を紹介してくれる人材紹介会社を利用する方法もあります。採用にあたって人材紹介会社へ支払うコストはかかりますが、求職者本人の応募を待つよりもマッチングしやすくなります。
採用しても大丈夫?「気をつけたい人」の特徴は
転職理由や実績がないのを環境や他人のせいにする
前職の環境の劣悪さ、上司や同僚との相性の悪さなどを理由に転職しようとする人は、課題を自ら解決せず、環境や他人のせいにして投げ出す傾向があるかもしれません。転職する前に環境改善を試みたかを聞き出し、逆境の中でもなんらかの実績を残せているかをチェックしておきましょう。
人脈、交流の広さばかりをアピールする
社交的で交流が広いのは好ましいことですが、社会的ステータスのある人とのつながりや、知り合いの人数の多さばかりをアピールするような人は、自分の評価を上げるために他人を利用しようとする傾向があるかもしれません。
表面上はつながりが多くても、魂胆が見え見えで本来の人望はそれほど……ということもあるので、その人自身を見極めるようにしましょう。
実働より企画やプレゼンなどの実績を強調する
「好奇心旺盛なアイデアマン」や「自分のプレゼン力で企画を通した」などとアピールする人は、飽きっぽくモチベーションが長続きしない傾向や、人目につく派手な部分だけ張り切って、仕事を完遂するための地道な作業を人任せにする傾向があるかもしれません。その後、その仕事がどうなったかも突っ込んで聞いてみましょう。
ここで紹介した「気をつけたい人」の各タイプに共通しているのが、弁の立つ人が多いこと。面接では、冷静な視点で人となりを確かめることが重要です。食事などに誘ったりして、面接以外での様子を見てみるのもいいかもしれません。
(ライター:丸田カヨコ)